おなじみ、桃山の斑唐津です。
唐津焼きは佐賀県唐津市周辺で栄えた焼き物ですが、特に斑と呼ばれる白濁した失透釉のぐい呑みは、「徳利は備前、盃は斑」と呼ばれるほどの酒徒垂涎の組み合わせです。その理由は、とにかく酒を旨く呑ませてくれるというのが、大方の見方ですね。
 斑のぐい呑みは、見込みや胴に青い窯変が現れて、そこから斑の名が付けられているようです。その青いきらめきは、酒を注ぐといっそう映えて、その口縁からは、実になめらかに酒が口中へと飛び込んできます。これは一度使ったらやみつきになり、江戸時代からぐい呑みの王者なのもうなずけます。
 このぐい呑みは、斑唐津の産地である東松浦郡北波多村にある岸嶽周辺のものに間違いないですが、帆柱窯のものか皿屋窯のものは見分けがつきません。どちらも釉薬に違いはなく、土味もざらっとした砂目の土なのは変わらないからです。
 この岸嶽系唐津は、唐津焼きの中でも最古の窯とされており、特に斑は最初期(16世紀前半)から焼かれていたと考えられています。


 
なお、このぐい呑みは株式会社学習研究社発行、「やきもの真贋鑑定」(ISBN-05-400644-2)の99ページに所載されているぐい呑みです。

ひとつ前へ
(注:Javaスクリプトがoffの場合はブラウザの戻るボタンを使用)